ベルリン・フィルとは?歴史・歴代指揮者・特徴をわかりやすく解説
ベルリン・フィルとはどんなオーケストラなのでしょうか。1882年の創立から、フルトヴェングラー、カラヤン、アバド、ラトル、ペトレンコへと続く歴代指揮者、本拠地ベルリン・フィルハーモニー、日本との関係、現在の活動まで、その歴史と特徴をわかりやすく紹介します。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とは?歴史・歴代指揮者・特徴を紹介
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Berliner Philharmoniker/BPO)は、ドイツ・ベルリンを本拠地とするオーケストラです。
1882年の創立以来、ハンス・フォン・ビューロー、アルトゥール・ニキシュ、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、ヘルベルト・フォン・カラヤンなど、歴史に残る指揮者たちとともに歩んできました。
特に20世紀には、演奏会だけでなくレコードや映像、世界各地への演奏旅行を通して国際的な名声を高め、現在も世界を代表するオーケストラのひとつとして活動しています。
ここではベルリン・フィルの創立から現在までの歴史をたどりながら、歴代首席指揮者、本拠地、日本との関係、そして時代によって変化してきた演奏スタイルについて見ていきます。
1882年――ベルリン・フィルの誕生
ベルリン・フィルの創立は1882年です。
前身となった楽団の演奏家たちが、待遇や運営をめぐる問題から独立したことをきっかけに、新しいオーケストラが誕生しました。
ベルリン・フィルの特徴のひとつとして、その後も重要になっていくのが楽団員の自主性です。
後に首席指揮者の選出にも楽団員が大きく関わるようになり、この自主性はベルリン・フィルの歴史を考えるうえで重要な要素となっていきます。
ビューローとニキシュ――世界的オーケストラへの成長
創立後のベルリン・フィルの発展に大きな役割を果たした指揮者のひとりが、ハンス・フォン・ビューローです。
厳しいリハーサルと高い演奏水準を求めたビューローのもとで、ベルリン・フィルは急速に実力を高めていきました。
その後、アルトゥール・ニキシュが長期間にわたって楽団を率い、ベルリン・フィルの国際的な評価をさらに高めていきます。
現在ではカラヤン時代の印象が非常に強いベルリン・フィルですが、その土台は19世紀末から20世紀初頭にかけて築かれていました。
フルトヴェングラー時代――ドイツ音楽を代表するオーケストラへ
20世紀前半のベルリン・フィルを語るうえで欠かせないのが、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーです。
ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーなどを中心とした演奏で名声を高め、ベルリン・フィルとともに数多くの歴史的な演奏を残しました。
フルトヴェングラーの演奏は、テンポを大きく動かしながら巨大なクライマックスを築いていく独特のスタイルでも知られています。
第二次世界大戦と戦後という激動の時代を経験したベルリン・フィルにとって、フルトヴェングラーは楽団の歴史を象徴する指揮者のひとりとなりました。
カラヤン時代――ベルリン・フィルの黄金期
1954年にフルトヴェングラーが亡くなった後、ベルリン・フィルの新しい時代を築いたのがヘルベルト・フォン・カラヤンです。
カラヤンは30年以上にわたってベルリン・フィルを率い、特に1960~70年代には両者を代表する数多くの演奏や録音が生まれました。
世界各地への演奏旅行、レコードや映像の制作、新しいベルリン・フィルハーモニーの完成、ザルツブルク復活祭音楽祭への出演など、ベルリン・フィルの活動は演奏会場の外へも大きく広がっていきます。
一方、1980年代にはザビーネ・マイヤーの採用問題などをめぐってカラヤンと楽団員の関係に亀裂も生じ、1989年にカラヤンは首席指揮者を辞任しました。
カラヤンとベルリン・フィルの関係、1960~70年代の黄金時代、独特のサウンド、名録音、晩年の対立と辞任については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
ベルリン・フィルの歴代首席指揮者
ベルリン・フィルの歴史は、歴代の首席指揮者によって大きく変化してきました。
フルトヴェングラー、カラヤン、アバド、ラトル、ペトレンコ。それぞれの指揮者が自分の音楽観を持ち込みながら、同じオーケストラから異なる魅力を引き出しています。
| 指揮者 | 主な在任期間 | 時代の特徴 |
|---|---|---|
| ヴィルヘルム・フルトヴェングラー | 1920年代~1954年 | ドイツ音楽を中心に独自の演奏スタイルを確立 |
| ヘルベルト・フォン・カラヤン | 1950年代~1989年 | 録音・映像・世界ツアーを通じて国際的な存在感を拡大 |
| クラウディオ・アバド | 1989~2002年 | レパートリーを広げ、より柔軟なオーケストラへ |
| サイモン・ラトル | 2002~2018年 | 現代作品、教育活動、デジタル展開などを推進 |
| キリル・ペトレンコ | 2019年~ | 精密なアンサンブルと幅広いレパートリーを追求 |
同じベルリン・フィルでも、指揮者が変わるとオーケストラの響きやレパートリー、演奏スタイルも変化します。
歴代指揮者の録音を同じ作品で聴き比べてみるのも、ベルリン・フィルを楽しむ方法のひとつです。
ベルリン・フィルの本拠地――ベルリン・フィルハーモニー
ベルリン・フィルの本拠地が、1963年に完成したベルリン・フィルハーモニーです。
建築家ハンス・シャロンによって設計され、ステージを客席が取り囲む独特の構造を持っています。
現在では同じような考え方を採用したコンサートホールが世界各地に建設されていますが、ベルリン・フィルハーモニーはその先駆的な存在です。
ベルリン・フィルの名録音を生んだイエス・キリスト教会
ベルリン・フィルの録音史を語るうえで忘れられない場所が、ベルリン・ダーレム地区にあるイエス・キリスト教会です。
フィルハーモニーが完成する以前から録音会場として使用され、ベルリン・フィルの数多くの名録音がここで制作されました。
教会ならではの自然な残響を持ち、特にステレオ録音初期のベルリン・フィルのサウンドを伝える録音が数多く残されています。
ベルリン・フィルの古い録音を聴くときには、指揮者や録音年代だけでなく、「どこで録音されたのか」にも注目すると面白いでしょう。
ベルリン・フィルと日本――1957年の初来日から続く関係
ベルリン・フィルと日本には長い交流の歴史があります。
1957年にはカラヤンとともに初来日し、日本各地で演奏会を開催しました。
その後もベルリン・フィルは繰り返し日本を訪れ、カラヤン時代だけでなく、アバド、ラトルなど歴代首席指揮者との来日公演も行われています。
日本のクラシックファンにとって、ベルリン・フィルの来日公演は世界最高峰のオーケストラを実際に聴くことのできる貴重な機会として、長年大きな注目を集めてきました。
当サイトでは、カラヤン時代を中心としたベルリン・フィルの来日公演についても詳しく紹介しています。
ベルリン・フィルを支えてきた名奏者たち
ベルリン・フィルの歴史を作ってきたのは、歴代の指揮者だけではありません。
各時代に世界的な名手が在籍し、それぞれの奏者がオーケストラ独自の響きを支えてきました。
カラヤン時代には、コンサートマスターのミシェル・シュヴァルベ、クラリネットのカール・ライスター、オーボエのローター・コッホ、フルートのジェームズ・ゴールウェイなど、現在も名前が知られている奏者が活躍しました。
また、日本人演奏家もベルリン・フィルの歴史に加わっています。
指揮者だけでなく、実際にオーケストラを構成する楽団員に注目して聴いてみると、ベルリン・フィルの違った魅力が見えてきます。
カラヤン以降――アバド、ラトル、ペトレンコの時代
1989年にカラヤンが退任した後、ベルリン・フィルの首席指揮者に選ばれたのがクラウディオ・アバドです。
長期間続いたカラヤン時代から大きく方向を変え、レパートリーや演奏スタイルにも新しい風を吹き込みました。
2002年からはサイモン・ラトルが首席指揮者を務めます。
ラトル時代には幅広い作品への取り組みに加え、教育活動や新しい聴衆を開拓する活動も積極的に行われました。
そして2019年から首席指揮者を務めているのがキリル・ペトレンコです。
歴代首席指揮者が変わるたびにベルリン・フィルの音楽も変化してきましたが、世界各国から優れた演奏家が集まるオーケストラとしての高い演奏水準は受け継がれています。
デジタル・コンサートホール――世界中でベルリン・フィルを聴ける時代へ
現在のベルリン・フィルを語るうえで重要なのが、インターネット配信サービス「デジタル・コンサートホール」です。
ベルリンで開催される演奏会をオンラインで視聴できるだけでなく、過去の演奏映像も数多く公開されています。
かつてベルリン・フィルの演奏を聴くためには、ベルリンへ行くか、来日公演を待つか、レコードやCDを購入する必要がありました。
現在では日本にいながらベルリン・フィルの最新の演奏に触れることができます。
ベルリン・フィルを初めて聴くなら
ベルリン・フィルに興味を持ったものの、「どこから聴けばいいのかわからない」という方もいるでしょう。
そんな場合は、まず自分の好きな作曲家の作品を選び、歴代首席指揮者による演奏を聴き比べてみる方法があります。
- フルトヴェングラー ― 戦前・戦後のベルリン・フィルを代表する歴史的録音
- カラヤン ― 1960~80年代に残された膨大な録音と映像
- アバド ― カラヤン後の新しいベルリン・フィル
- ラトル ― 幅広いレパートリーと現代的なアプローチ
- ペトレンコ ― 現在のベルリン・フィル
例えばベートーヴェンやブラームスの交響曲を指揮者別に聴き比べると、同じオーケストラでありながら時代によって演奏が大きく変化していることが分かります。
カラヤンの録音からベルリン・フィルを聴いてみたい方は、こちらでおすすめCD・名盤を紹介しています。
ベルリン・フィルは指揮者とともに変化してきた
ベルリン・フィルは1882年の創立以来、140年以上にわたって活動を続けてきました。
ビューロー、ニキシュ、フルトヴェングラー、カラヤン、アバド、ラトル、ペトレンコ。
歴代の指揮者がそれぞれ異なる音楽観を持ち込み、そのたびにオーケストラの響きやレパートリーも変化してきました。
その中でもカラヤン時代は30年以上に及び、ベルリン・フィルが録音や映像を通じて世界的な存在となった重要な時代です。しかし、ベルリン・フィルの歴史はカラヤンだけで始まり、カラヤンだけで終わったわけではありません。
1882年の創立から現在まで、時代ごとに新しい音楽を作り続けてきたことこそ、ベルリン・フィルの大きな魅力です。
カラヤンとベルリン・フィルがともに歩んだ時代について詳しく知りたい方は、黄金時代から1989年の別れまでをまとめたこちらの記事をご覧ください。















