カラヤン大阪公演「ドン・ファン事件」—帝王まさかのミス
1984年のベルリン・フィル大阪公演で起きたとされる、R・シュトラウス《ドン・ファン》演奏中断事件を紹介します。カラヤンが演奏を止め、安永徹氏の助言を受けて仕切り直したという、極めて珍しい舞台上の出来事です。
1984年大阪公演「ドン・ファン演奏中断事件」
1984年10月18日、大阪・ザ・シンフォニーホールで行われたカラヤン指揮ベルリン・フィルの来日公演で、極めて珍しい出来事があったと伝えられています。
R・シュトラウスの交響詩《ドン・ファン》の演奏が始まった直後、カラヤンが自ら演奏を止め、改めて最初からやり直したというものです。
この記事は、ネット上の資料やファンによる伝聞をもとにまとめています。細部については複数の説があり、事実関係が完全には確認できない部分があります。
《ドン・ファン》冒頭で起きた異変
《ドン・ファン》は、弦楽器が勢いよく駆け出す非常に劇的な冒頭で始まります。
ところが、この日の演奏では、曲が始まって間もなくカラヤンの指揮とオーケストラの動きがうまく噛み合わない状態になったとされています。
カラヤンの棒が示している音楽と、ベルリン・フィルが演奏している《ドン・ファン》の流れとの間に、明らかな違和感が生じたというものです。
ほんの数秒の出来事だったようですが、カラヤン自身もすぐに異変に気付いたとされています。
カラヤンが自ら演奏を中断
そしてカラヤンは、自ら演奏を止めたと伝えられています。
世界各地で膨大な数の演奏会を指揮してきたカラヤンですが、本番中に演奏を途中で止め、もう一度やり直すという場面は非常に珍しいものです。
当然、客席にも「何が起きたのか」という空気が流れたことでしょう。
ベルリン・フィルの団員たちにとっても、通常の演奏会ではまず起こらない出来事だったと思われます。
安永徹コンサートマスターがカラヤンに助言
演奏が止まったあと、この日のコンサートマスターを務めていた安永徹氏がカラヤンに声をかけたと伝えられています。
ネット上では、
「違います」「シュトラウス」
といった言葉を伝えたという説もあります。
ただし、この発言内容については伝聞によるものなので、実際にどのような言葉が交わされたのかは断定できません。
いずれにしても、コンサートマスターである安永氏が状況を素早く把握し、カラヤンと短いやり取りをしたという話は、この出来事を語る際によく紹介されています。
仕切り直して《ドン・ファン》を再び演奏
その後、カラヤンは改めてタクトを構え、最初から《ドン・ファン》を開始したとされています。
今度はオーケストラとの呼吸も合い、演奏はそのまま進みました。
一度中断するという異例の事態が起きた直後にもかかわらず、すぐに演奏へ集中できるところは、カラヤンとベルリン・フィルらしいところです。
何十年も共演を続けてきた指揮者とオーケストラだからこそ、短いやり取りだけで状況を修正できたのかもしれません。
なぜ演奏が噛み合わなかったのか
この出来事については、さまざまな推測があります。
カラヤンが別の曲を意識した状態で指揮を始めたのではないか、最初の振り方が《ドン・ファン》の冒頭と噛み合わなかったのではないか、といった説が語られています。
ただし、本人による詳しい説明が残されているわけではないため、実際の原因については慎重に考える必要があります。
重要なのは、何らかの違和感を感じたカラヤンが、そのまま強引に演奏を続けるのではなく、一度止めてやり直したことです。
ベルリン・フィルの対応力も見どころ
この出来事は、カラヤンだけでなくベルリン・フィルの対応力を示す場面でもあります。
演奏途中で突然指揮者が止めれば、通常ならステージ上に少なからず動揺が生まれます。
しかし、そこからすぐに気持ちを切り替え、もう一度冒頭から演奏を始めるには高い集中力が必要です。
長年カラヤンと演奏してきたベルリン・フィルだからこそ、こうした異例の状況にも素早く対応できたのでしょう。
カラヤンが微笑んだという証言も
目撃談の中には、仕切り直す直前にカラヤンがわずかに笑みを見せた、という話もあります。
完璧主義者というイメージが強いカラヤンだけに、本番中の思わぬ出来事に対してどのような表情を見せたのかは、ファンにとって興味深いところです。
ただし、これについても目撃者の記憶や伝聞による部分が大きいため、ひとつのエピソードとして捉えておくのがよいでしょう。
完璧に見えるカラヤンにもライブならではの出来事があった
カラヤンとベルリン・フィルといえば、非常に完成度の高い演奏や録音で知られています。
しかし、ライブ演奏ではどれほど経験豊富な指揮者やオーケストラであっても、予想外の出来事が起こります。
演奏を途中で止めること自体は失敗とも言えますが、その後にどう対応するかを見ると、世界最高峰の演奏家たちの実力がよく分かります。
この大阪公演での《ドン・ファン》も、ミスそのものより、カラヤンとベルリン・フィルが瞬時に立て直したことの方が印象的な出来事だったのかもしれません。
まとめ|今も語り継がれる1984年大阪公演の珍事件
1984年の大阪公演で起きたとされる《ドン・ファン》演奏中断事件は、カラヤンの長い指揮者人生の中でも非常に珍しいエピソードです。
演奏が始まったものの指揮と音楽が噛み合わず、カラヤンが自ら中断。安永徹氏との短いやり取りを経て、改めて最初から演奏したと伝えられています。
細部には伝聞や複数の説が残っているため断定はできませんが、完璧なイメージの強いカラヤンにも、こうしたライブならではの瞬間があったことは興味深いところです。
そして、突然の出来事にもすぐ対応して演奏を立て直したベルリン・フィルの集中力も、このエピソードの大きな見どころでしょう。





