カラヤンとベルリンフィル研究ブログ

ベルリンフィルハーモニーホール

2021年9月1日 当サイトにはプロモーションが含まれます

ベルリンフィルの本拠地、フィルハーモニーホールをご紹介しております。

フィルーハーモニーホール外観

フィルハーモニーホール(座席数:2,218席)

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フィルハーモニーホール全景

設立の背景と竣工式

旧フィルハーモニーホールは元ローラースケート場だったところを改造して作られたそうですが、第二次世界大戦でホールが破壊されてしまいました。旧ホールの音響はすこぶる良かったそうです。

そして、戦後世界最高のオーケストラに相応しいコンサート・ホールを建設しようという機運が徐々に高まり、1956年、コンペでベルリンの建築家ハンス・シャロンの設計が採用されました。コンセプトは「人・空間・音楽の新しい関係」。

再建のための費用の一部は宝くじによって賄われたようです。
柿落としは、1963年10月15日、カラヤン指揮、ベートーヴェンの第九が行われました。

↓の動画は1963年に完成したフィルハーモニーホールのニュース映像です。

この日の午前中には、次のようなオープニングセレモニーも行われました。
まず、シュヴァルベ、ブランディス、キュルヒナー、フィンケの超豪華メンバーによるハイドンの弦楽四重奏曲「皇帝」、ベルリン音楽大学学長であったボリス・ブラッハーによる開場記念のために作曲したファンファーレの初演、また、ベートーヴェンの「レオノーレ」序曲第三番も演奏されました。

このフィルハーモニーホールはもともとベルリン市の文化センター構想の一環として生まれたものでありましたが、当時1700万マルクという莫大なコストがかかっています。室内楽ホールも作られる予定でありましたが、財政事情によりなかなか進行しませんでした。

なお、新フィルハーモニーホールができるまでレコーディングの多くはイエスキリスト教会で行われ、数多くの傑作を生みだしました。

ホール内部の造り

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次にホールの造りですが、ホールは普通、壇上の前にしか客席はありませんでしたが、少しでもお客を収容することができるよう360度客席を設けたのです。いわゆるアリーナ形式です。外観がサーカスのテントに似ていることからカラヤンサーカス(ツィルクス・カラヤーニ)と呼ばれました。今では世界各地でこのようなホールを見ることができますが、当時としては斬新であり、また後ろの客席からは指揮者の表情が見られるのはフレッシュでもありました。

ただし、このフィルハーモニーホールの客席でいただけないのは、管セクションの真後ろのスペース(第九などの合唱団が収まるところ)にも、客をぎゅうぎゅう詰めにしていることでしょう(野球場のエキサイティングシートのよう)。

何もここまでして人を入れるのはどうかと思います。それとも、少しでも多くの人にベルリン・フィルの演奏を聴いてもらいたいということなのでしょうか?

公式サイトで、バーチャルツアーが楽しめます。指揮台から360度見渡せるほか、拡大ボタンをクリックすればシートの質感まで見ることができます。

一方、舞台が中央にあるということで、音響面では様々な工夫を余儀なくされました。客席を18のブロックに分けて仕切ったり、舞台の上に10枚の反響板を吊したり、壁に木製の反響材を使用したり、また1992年には音響効果をさらに高めるための大規模な修復工事が行われ、残響はわずか1.6秒、まさに世界トップクラスです。

建物の外観や内部だけはでなく、他のヨーロッパの伝統的なホールとは明らかに違う音響効果を備えたホールとして、近代コンサート・ホールの傑作として賞賛されています。

舞台後方のブロックは、オーケストラの編成が大きいときには、どうしても管楽器の音が強くバランスは良くはありませんが、概してどのブロックでも優れた音響効果が得られます。特に舞台前面Aブロックの後方の席とBブロック全席が良いとされています。

また、その他にホワイエ(いわゆるロビー)もここのホールの目玉であり、喫茶コーナーで軽食をとることもできます。また楽員軽食堂があるのも特長です。
なお、1987年に完成した室内楽ホール(座席数1150席)が隣接しています。

ブドウ畑

フィルハーモニーホールの客席はまさにブドウ畑のようです。実際にそう呼ばれているのですが、観客が入っていない状態で見ると本当に美しい。まさに芸術品。しかし、確かにサーカスのようにも見えます・・・。

ホワイエ

シンプルな作りながら機能的で抜群のセンスを誇るホワイエ。こちらも公式サイトのバーチャルツアーで3D体験することができます。

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室内楽ホール

1983年に室内楽ホールの建設や運営費調達のためのコンサートがカラヤン指揮で行われました。17万マルクもの収入になったと言います。

サントリーホール

カラヤンが監修したホールで、1986年完成。
1988年にカラヤンはベルリン・フィルとともに来日し、モーツァルトの交響曲29番とチャイコフスキーの悲愴を演奏。音の宝石箱と賞賛します。
カラヤンが監修しただけに本家ベルリン・フィルハーモニーホールとよく似た作りになっています。
結局カラヤンはサントリホールにはこれが最初で最後になり、翌年7月に自宅で急逝します。

サントリーホール公式サイト

ご自宅がベルリンフィルハーモニーに

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